フォトアルバム
Powered by Six Apart

« 白蓮れんれん/林真理子 | メイン | サファイア/湊かなえ »

2014年11月22日 (土)

シフォン・リボン・シフォン/近藤史恵

51u1buglefl__sl160_シャッターのおりた店が目立つ地方都市のさびれた商店街。

街にひとつだけの本屋が閉店し、後に入ってきたのはなんとも華やかなランジェリーショップ。
こんな田舎のさびれた商店街でやっていけるはずがないと冷ややかに見つめる商店街の店主。

母親の介護のために自分の青春も人生も犠牲にして、親に抑えつけられ生きてきた中年独身の女性は、はじめて体に合う下着をこの店で見つけて、自由を手に入れることができ…
いつまでも結婚しない息子には女装癖があったと知った男親の衝撃、

それはこの店ができたから気がついたことなのでした。
ではなぜこんな田舎の商店街に洒落たランジェリーショップを開いたのか。
店主の女性にも親との葛藤、乳癌による乳房の全摘など、さまざまな悩みがありました。
シフォンやリボンで美しく飾られた下着たち。
実用的ではない高級品、そして病気の人のために作られた美しい下着、
人々はその一枚に幸福を感じるのでした。

娘にとって、特に母親というものは越えられない壁のようで、結婚して子供を持って本当に私は母を尊敬することができましたが、今、老いていく母を見るのはとても寂しいような辛いような、歯がゆいような気持ちになることがあります。
それぞれの物語の主人公たちは、親子関係に葛藤し、だけど絶対に親を捨てることはできない。

できないけれど、

自分のことも大切にしようと、美しい下着を身につけた自分を見て、そう決心します。


作中で印象深かった言葉に、
母を許せるかわからない、けれども、母も完璧な人間ではないし、また、自分も完璧な人間ではない、というような文章が出てきます。
家族って、そういうもので、だからこそ大切なのでは、と。
憎らしかったりすることも当然あるでしょう。人間ですもの。
それでも捨てられない。

その理由は、自分も、親も、子供も完璧な人間ではないから。

そう思える主人公たちは、とても強くて、しなやかで、優しくて、人間味があって、
とてもいい物語でした。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.blog.eonet.jp/t/trackback/367110/33061515

シフォン・リボン・シフォン/近藤史恵を参照しているブログ:

» 「シフォン・リボン・シフォン」近藤史恵 (りゅうちゃん別館)
田舎町の寂れた商店街にできた下着の店。 この店に関わる人たちを描いた連作短編集。     第一話 主人公は母親の介護に追われる娘の佐菜子。 大学を出たものの、背骨骨折の母親を放り出せずにいる。 そんな彼女が見たのは、本屋の跡にできた下着の店シフォン・リボ…... [続きを読む]

コメント

突然のご連絡、失礼致します。
私、月刊誌の編集をしている深川と申します。
yukoさまにぜひとも取材をお願いしたく、コメントさせていただきました。
よろしければ詳細をお話させていただきたいので、fukagawa(あっとまーく)grfft.comにご連絡いただけないでしょうか…?突然の不躾なご連絡で申し訳ございません。どうぞよろしくお願い致します。

親子という関係ほど、愛と増の感情が色濃く入って来る関係はないと思います。
ある時は「なぜ、自分を産んだ⁈」と親を憎悪する事もあれば「行く行くは自分は離れるが、親は大丈夫だろうか。。。」と気にしたりと、イロイロ気になる関係だと思うし、いろいろ気になる分だけ互いに完全ではないと思う。

そんな不完全な人達が身につける下着。
下着は縁の下の力持ちだと思う。
目立たない存在だけど、その人の心境を反映し、
その人の心を支える。

さびれた商店街にできた店という所で、
興味を持ちました、一度見てみたいと思います。

フクシアくん>作者も母と娘の葛藤があったのかなーと思わさせるようなリアル感でした。
憎い、けれども捨てることは絶対にできない、絶望の中で、人の目には触れない下着で優雅さや美しさを堪能する気持ち、とてもよくわかるなと。
機会があればぜひぜひ!

コメントを投稿